彫物名鑑 小松堂

ヤフーのブログから引っ越してきました。 以前のカテゴリーは、そのまま移動されていました。 社寺彫刻、だんじり彫刻や浪花彫物師の彫物および野仏や磨崖仏を紹介します。

2014年09月

通り道に秋祭りの掲示がありましたので、紹介します。
<その1>
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(中野本町)
昨年、曳行が復活。
だんじりの中で最大級の大きさ。
高さ約5m10cm、道路交通法ならぬ、道路曳行法?の標識板に当たるため、20cm縮小される。
推定明治14年前後の製作、彫物師「彫友」?系の彫物。
「彫友」?とは、「彫清」と親戚のような彫。大東四條畷方面に数台の地車があるが、仔細は未だに不明。
堂宮大工「大重」こと田中重太郎氏との関係は大いにあると考えられる。
 
<その2>
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(岡山)
数年前、屋根裏から縁起書が発見され、天保九年作。
彫物師は「服部系?の彫物。
正面のシガミのみ「相野」さん。
かって岡山地区に二台の地車があり、一台は昭和三十年代に枚方市招堤へ売却。
その地車は、日置天神社の向って右端にある北河内型の大きな地車です。
 
<その3>
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(打上)
◎打上上(東)
慶應四年(明治元年)、小松福太郎作。
懸魚、桁隠、木鼻、枡合の獅子、見送り車板などは、福太郎の作、その他は不明。
見える場所に「銘」があり、探してみよう!。
◎打上下(西)
推定明治十四年、木鼻、枡合の獅子、麒麟と見送り車板などは、バリバリの八代目源助の作。
その他の彫物は「彫友」?との合作のような彫物。
見える場所に「銘」あり、探してみよう!。
 
●早朝に行けば、飾りなしの彫物がみられます。
くれぐれも、準備作業のじゃまにならないように!。
<その4>
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(深野北)
明治三十四年ころ、寝屋川市木田から購入と聞きます。
そのときに、シガミ二枚、懸魚、桁隠、泥幕の彫物を取替え追加されたと思われます。
取替え、新たに追加された彫物は「彫清」作、その他、元の彫物は、「花岡」系?の彫物と思われます。
早朝に行けば、台棒なしの泥幕の獅子が見れるかも!
くれぐれも、準備作業の支障のないようにおねがいします。
 
 

寝屋川市のだんじりもさることながら、寺社彫刻においても彫の良いものがある。
<その1>
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(大杜御祖神社本殿)
拝殿から覗くとこの獅子鼻が見える。
観たところ、‘彫友’?風の唐獅子。
ここの本殿、明治二十二年 「大重」の記録がある。
<その2>
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(鞆呂岐神社)
<その3>
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(池田菅原神社)
彫師、年代不明だが、かなりの力量をもった獏鼻。
<その4>
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()福田寺)
正面向きの獅子鼻。
昭和九年ころの再建と聞きます。
住職さんのご厚意により、本堂の欄間を見せていただきました。
<その5>
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(福田寺)
昭和期の彫ですなぁ。
裏面に銘はなかったです。
<その6>
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(勝光寺)
こんな身近なところに‘伊兵衛さん’がいました。(今期初見)
我ながら恥ずかしいことですが、木場のあにきさまありがとうございました。
<その7>
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(正縁寺)
この象鼻もかなりの気合が入っています。
<その8>
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(法安寺)
文政期の再建、彫から観れば、服部清七満朝さんか?
独特の獏鼻で造形美は、これまたとてもすばらしい。
 
 

伊兵衛さんの象鼻と言われてもピンとこない。
だんじりや寺社の彫刻において、獏鼻や獅子鼻が主流で、象鼻はめったにない。
そこで、あるお寺さんでこのような象鼻がついていた。
<その1>
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(圓融寺)
ただ、この象鼻が伊兵衛さんであることは、証明できない。
だが、このお寺さんの蟇股には、この龍の彫物が・・・。
<その2>
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おっ、伊兵衛さんだ・・・。
ちょつと待った、角も欠損しているし、右側の肢もなし。
これでは、オリジナルの伊兵衛さんとは言えない・・・。
だが、探してみれば象鼻がついただんじりがあった。
これだ!
<その3>
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(釈尊寺)
おっおっ、なんとなくお寺さんのものに雰囲気はかなり似ている。
目玉には、ガラス眼でなく銅板が被せている。
ここのだんじり、だんじりの形態としては古いタイプと推測する。
しからば、このだんじりの龍の彫物は、
<その4>
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う~ん、オリジナルの伊兵衛さんとは、少々言い難いが、伊兵衛グルーブには間違いないと思う。
とするのなら、<その1>のは、相野伊兵衛さんの頃の象鼻と見てもよいだろう。

祭で曳かれるだんじりの小型のものを‘子供だんじり’といい、それよりさらに小型のものを‘ミニだんじり’と呼ばれる。 ‘ミニだんじり’は、本来子供の玩具用として考えだされたもので、男の子の節句や誕生祝いにプレゼントされたものであった。それらのミニだんじりには、彫物というほどの彫物は付けられていないが、少し高級になると三枚板の彫物がつけられたり、さらに本格的な彫刻が施される。 このようになると、子供用のものではなく、神社への奉納品として製作された。
<その1>
イメージ 1
 
<その2>
イメージ 2
 
<その3>
イメージ 3
このクラスになると、彫物は本格的。
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泥幕の彫物もミニだんじりのものと思えないほどの精密さ!
<その4>
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さらに豪華になったミニだんじり。
ミニだんじりの中でも大型級のスケール。
 
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おっとりした七福神の布袋さん。
 
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何故か、小屋根下に‘相野’さん風(徳)’の獅噛。
 
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屋根の上には、巨大な龍か!
スミスさんとこの龍に似ています。
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本格的な獅噛。
明治中期以降の小松さんのよう?
 

またまた、このお寺さんにて、徳兵衛さんがおりました。
<その1>
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最初見たとき、伊兵衛さんと思いましたが、
何かおかしい・・・。
そう、この彫は徳兵衛さんのほうでした。
<その2>
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アップして見れば、
<その3>
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おっ、これは、以前紹介しましたコレと同じですね。
<その4>
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ちなみに、伊兵衛さんの顔はこちらのほう↓。
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獏鼻といえば、
<その5>
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おっ、この獏鼻も以前紹介しました徳兵衛さんの見習いが彫ったようなコレと同じイメージですね!
<その6>
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さらに、片側の獏鼻といえば、
<その7>
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さすがにいい顔をしています。
この獏鼻は、高津八幡神社の獏鼻に次ぐ大きさです。
 
残念ながら、銘は無、本堂は明治十一年の再建と聞まきます。
相野徳兵衛、得兵衛と銘のあるものは、今のところ十件。
そのうち、‘得兵衛’と書かれたものが三件あり。その他はすべて‘徳兵衛’となっています。
二河原邊地車には、両方の銘がかかれており、しかも、号は‘直信’
 
<その8> 二河原邊地車の銘
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どう見ても、同一彫物師としか考えられない。
しかも、刻名です。
( この地車の伊兵衛さんの銘は、墨書きのみです。)
 
これはどいうことなのか?というと、
つまり、あて字を使用しており、使い分けにこだわっていなかった思われます。
<その9>
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小房観音では、‘得兵衛 直信’。
<その10>
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三嶋の太鼓台では、『浪花 惣彫刻 相野徳平 直信』となっています。
 
 

<その1>
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(平林寺観音堂)
観音堂蟇股に彫られた龍。
龍顔は鋭く彫られているが、龍頭が約50度下向きに向いている。
何だか苦しそう!
早くもとの位置に戻してあげて?
<その2>
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(平林寺本堂)
大正十年製の力神。
こじんまりと彫られているが、強靭な力強さを表現。
<その3>
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(寶寿院山門)
新築の山門にかっての彫物を流用。
雲、波、獅子鼻しか彫られていないが、獅子は相野さんのよう。
<その4>
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(成福院)
中央の束から左右に波頭が彫られている。
<その5>
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(皇大神社)
それほど細かく彫られていないが、趣のある龍。
<その6>
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(春日神社諸社)
これは非常に細かく彫られた足なめ獅子
境内の樹林に守られているためか、風雨による損傷が少ないと思われる。
同じく、
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(春日神社諸社)
‘松に象さん’でしょうか?。
<その7>
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(遍照院)
見るかぎり、近世の彫師さんの作品。
<その8>
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(正覚院)
手挟みに彫られた唐獅子。
これは、なかなかの彫。
同じく、
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(正覚院)
この獏鼻もすごい勢いです。
<その9>
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(猪名野神社本殿)
龍馬と思いきや、頭の上に一本の角。
つまり、一角獣。そう麒麟さんだ。

伊兵衛さんが滑って転んで、でんぐり返ったことではない。
彫物にでんぐり返った神獣がいる。
<その1>
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これは前回の紹介した宝塚神社に彫られているもので、高いところから落ちたのか、滑ってころんだのかわからないが、このようなポーズで彫られている。
背中に甲羅のようなものがあるので‘犀’のようである。
このようなポーズがだんじりの彫物にもあった。
<その2>
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(野崎)
この唐獅子もでんぐり返っている。
<その3>
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(野崎)
麒麟さんもいた!
<その4>
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(私部東)
こちらのだんじりの麒麟さんも!
ヨガではありませんが、このポーズ、畳の上でまねて見てください。
なかなか楽しいですょ!
では、今日はこのへんで、・・・・。
 

「だんじりの彫物展」が本日10日から開催されました。
<その1>
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<その2>
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大東市内32台のだんじりの写真と彫物写真のパネル。
<その3>
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だんじりの彫物の解説。
<その4>
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「小松源助」をごくごく短く解説。
ほんまに短い!
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このようなスライド形式に仕上がるとは、全然検討がつきませんでした。
学芸員さんに一本とられました!
今回の小松源助の彫物は、来年度に持ち越しとなりました。
<その5>
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市内のだんじり銘の紹介。
<その6>
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市内旧彫物の展示。
本年度は少な目です。
<その7>
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木下彫刻工芸さんの豪華絢爛な彫物。
下絵も数多く展示されています。
<その8>
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熱狂的なマニアさんもご来館!
遠路はるばる、ありがとうございました。

<その1>
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宝塚神社にある恵比須社。
ここにあの伊兵衛さんがいた。
 
<その2>
イメージ 2
 
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これは、完璧な伊兵衛さんだ!。
獏鼻は、・・・。
<その3>
イメージ 4
 
イメージ 5
これも伊兵衛さん。
<その4>
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社殿の側面蟇股に彫られた‘犀’の彫物。
お目付けは、脇障子。
<その5>
イメージ 7
鬼神のようで、顔の彫もやはり伊兵衛さん。
何やらすべての彫物が伊兵衛さんづくしのようである。
社殿は、天保年間の作、
元村の末社としてあったものが、この地へ合祇された。

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